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乳腺のQ&A

乳がん検診

マンモグラフィ

マンモグラフィってなんですか?

乳房専用のレントゲン検査で、乳房の中を精密に調べることができます。乳がんを発見するために、広く全世界で行われている検査方法で、安全性と乳癌発見能力の有効性が証明されています。

フラットパネル型マンモグラフィ撮影装置って、何がちがうんですか?

フラットパネル型マンモグラフィ撮影装置って、何がちがうんですか?

普及しているマンモグラフィには、レントゲンフィルムに焼き付けてから現像するアナログ画像の旧式フィルムタイプのマンモグラフィと、現像フィルムがなくデジタル乾板に撮像してからコンピューターに読み込むCRデジタルマンモグラフィ(CR-MMG)があります。デジタルマンモグラフィは言うならば、乳腺専用のレントゲンデジタルカメラです。当院では、さらに次世代型といわれる最新フラットパネル型デジタルマンモグラフィ(FP-MMG)を導入しています。撮影台そのものが受像乾板(フラットパネル)になっているので、撮影と同時に画像データがコンピューターに転送され、CR-MMGで使用するデジタル乾板も読み取り装置も不要となり、画像処理速度が速く、解像度・分解能も高くなっています。つまりFP-MMGは速くて、よくみえて、がんを見つけやすいマンモグラフィです。とてつもない高額医療機械ですが…

マンモグラフィで、何がわかるのですか?

マンモグラフィで、何がわかるのですか?

マンモグラフィ検査では、通常両側の乳房の4方向撮影(左右ともに縦方向と横方向の圧迫)をとります。乳頭、乳房皮膚、皮下と腋窩脂肪、乳腺組織、リンパ節などが写ってきます。乳腺組織の中に、腫瘤(良性腫瘤や嚢胞、がん等)や石灰化が認められたり、乳腺組織の解剖学的構築の乱れからがんを見つけます。

バストを強くはさむと痛いのですが…

乳房は立体的で厚みがあり、乳腺組織や脂肪、血管などが重なるために、そのままでは腫瘍などの病変が写し出されないことがあります。このためマンモグラフィ検査では乳房を挟んで、薄く引き延ばし、乳房をなるべく均等に圧迫して撮影することが重要です。実際の撮影のときには、上半身を脱衣し、椅子に腰かけた体位で、ポジショニング(撮影機械に乳房を挟んで、効果的な圧迫と正しい体位をとる)を行います。リラックスして力を抜き緊張を解けば、痛みもなく、よい撮影ができます。乳房を圧迫する圧迫板は、安全機構により一定以上の圧迫がかけられないように設計されていますが、それでも痛みが強い方、炎症や外傷があり圧迫できない方は撮影を中止することもあります。特に生理前に乳房の痛みが強く張りを感じる方は、生理終了後から1週間ころの撮影が比較的痛みなく行えますので、検査日程を調整いただくことも大切です。

被ばくの心配はないですか?

マンモグラフィはレントゲン検査なので、乳房に限局して、わずかな放射線被ばくがあります。全身に被ばくはしないので、放射線障害や白血病・がんなどの発生リスクはありません。1回のマンモグラフィ検査(両側の乳房の4方向撮影)で、乳房が受ける放射線量は、東京からニューヨークへ飛行機で行くときに浴びる自然放射線(宇宙線)とほぼ同じといわれます。妊娠している方、妊娠している可能性のある方、授乳中の方は、検査を延期しますので、必ず撮影前にお申し出ください。

マンモグラフィ読影認定医師とはなんですか?

マンモグラフィ読影認定医師とはなんですか?
マンモグラフィ読影認定医師とはなんですか?

マンモグラフィから乳がんを見つけ出すには、医師にも一定の知識・経験と技術が必要です。このため特定非営利活動法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会では、講習会や評価を行い、検診マンモグラフィ読影認定医師をホームページに公開しています。院長もこの認定を受けています。

日本乳がん検診精度管理中央機構

マンモグラフィ撮影認定技師とはなんですか?

マンモグラフィ撮影認定技師とはなんですか?

乳がんを正確に見つけ出せるマンモグラフィを撮影するためには、診療放射線技師にも一定の知識・経験と技術が必要です。このため特定非営利活動法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会では、講習会や試験評価を行い、検診マンモグラフィ撮影認定技師をホームページに公開しています。当院の技師もこの認定を受けています。

マンモグラフィ検診施設認定とはなんですか?

マンモグラフィ検診施設認定とはなんですか?

乳癌を正確に見つけ出せるマンモグラフィを撮影することができる施設であることが、信頼できるマンモグラフィ検診には必須です。このため特定非営利活動法人マンモグラフィ検診精度管理中央委員会(精中委)では、撮影されたマンモグラフィの画像精度を科学的に検証して、乳癌を正確に検出できる画像が撮影できる施設を、マンモグラフィ検診施設として認定しています。当院では「精中委」の認定を得た、信頼できるレベルのマンモグラフィを撮影しています。

乳腺超音波検査

超音波検査ってなんですか?

超音波検査ってなんですか?

超音波検査では、超音波を機械から発し、跳ね返ってくる超音波を拾って画像化することで、内部が見えるようにしているものです。水中を検査する魚群探知機と同じ原理です。音の跳ね返り現象の、やまびこ(エコー)と同じなので、超音波検査のことをエコー検査ともいいます。仰臥位で、乳房に音波を伝導するゼリーを塗って、超音波検査プローブを体表に押しつけるように動かして、乳房の断層像を見ながら乳房全体から腋窩リンパ節などを検査します。マンモグラフィの時のような、強めの圧迫はありません。放射線被ばくもありません。

どんな人に乳腺超音波検査をしますか?

超音波検査では、放射線の代わりに音波を使うので、放射線被ばくはなく、妊娠中でも検査できます。また乳腺組織が充実している若年の方、乳房に痛みや炎症外傷がありマンモグラフィの圧迫に耐えられない方、強い乳腺症などで良好なマンモグラフィ撮影ができない方、頻回に検査をする必要のある方などは、マンモグラフィより、超音波が適しています。また病変が嚢胞かどうか、病変の血流状態がどうか、大きさの測定、石灰化を伴うか、乳管との関連がどうかなど、詳細な情報を得ることができます。穿刺吸引細胞診や吸引組織生検をするときも、超音波検査で病変を直視しながら検査針を誘導します。

超音波検査の弱点はなんですか?

乳房が大きく乳腺の深部まで超音波が届かない方や、閉経後で乳腺が萎縮(いしゅく)して脂肪に置き換わっている方では、超音波よりマンモグラフィのほうが優れています。超音波では手に触れない数ミリの小さなしこりを見つけ出すこともできますが、早期乳がんの特徴である微細石灰化を写し出すには、マンモグラフィの方が適しています。超音波検査では、検査中に病変に気づかれなければ、あとで写真を見直しても病変が見つかることはほとんどありません(検査担当者の技術に依存)。また経時的に同じ病変を見ているかどうか疑問がある(再現性に劣る)など、客観性に欠けているため検診への導入が遅れていますが、マンモグラフィと組み合わせることで超音波の能力を最大限に利用する乳がん検診の工夫がされてきています。

マンモグラフィだけじゃダメなんですか?

よく聞かれます。特に若年の方や、乳腺症の方では、乳腺組織内の線維成分や水分が多く、マンモグラフィでは乳腺濃度が高いために、乳房全体が白っぽく写って内部がよく見えず、腫瘤や石灰化が検出できないことがあります(高濃度乳腺:DenseBreast)。このような場合は、超音波検査が乳腺内部の情報を得るのに威力を発揮します。一般的にマンモグラフィによる乳がん検出感度(乳がんを持つ人がマンモグラフィを受けて、実際に乳がんが見つかる率)は、40代で71.4%、50代で85.8%、60代で87.6%といわれます。40代では実に30%弱の乳がんがマンモグラフィで見えないのです。若年者乳がん検診では、マンモグラフィに超音波検査を併用することをお勧めしています。これに対して50代以上では、マンモグラフィ単独の乳がん検診でも問題はないでしょう。

超音波専門医ってなんですか?

超音波専門医ってなんですか?
超音波専門医ってなんですか?

超音波検査を行い、的確に乳がんを見つけ出すには、一定の知識・経験と技術が必要です。このため日本超音波医学会では、会員の講習会や評価を行い、学会認定の専門医・指導医を認定して、ホームページに公開しています。院長もこの認定を受けており、指導医として数多くの超音波検査技師の育成に勤めてきました。あなたの街の超音波専門医

穿刺吸引細胞診

どういう検査ですか?

細い針を注射器に取り付けて、乳房内の病変部を「穿刺」し、「吸引」陰圧をかけて、病変内部の細胞を採取(細胞診)し、顕微鏡検査する方法です。注射ですからチクッとしますが、局部消毒のみで局所麻酔はしません。病変が小さくて上から触ってもわからないときは、超音波検査を併用しながら、病変部に針先を誘導して吸引します。1カ所の穿刺は1分以内に終了します。検査後安静もなく、すぐ入浴シャワーも可能です。採取した標本の染色と顕微鏡検査は、専門の細胞診検査技師と病理科医師が読影診断するので、最終報告までに数日を要します。穿刺吸引細胞診は、細胞組織を直接採取する病理検査の中で最も体に負担が少なく、短時間で終了する簡単な検査なので、乳がんかどうかを確定するための検査の中では、最優先で行われます。

何がわかりますか?

穿刺吸引細胞診は、細胞や組織を採取する病理検査の中では、最も体に負担が少なく、短時間で終了する簡単な検査なので、乳がんかどうかを確定するための検査の中では、最優先で行われます。乳がん以外にも、炎症・良性腫瘍の診断が出ることもあります。乳がんであるのにがん死ああ棒が検出されない「偽陰性」となることもあるため、画像診断で悪性が疑われるにもかかわらず、細胞診が陰性の場合には、一歩踏み込んだ検査である組織診を行います。

穿刺吸引しない細胞診もありますか?

血性乳汁が出るとき乳頭分泌物そのものの細胞診検査をすることがあります。

VACORA吸引太針生検(組織診)

どんな検査ですか?

どんな検査ですか?

組織診とは、病変部の組織(細胞のかたまり)を取り出して顕微鏡で観察し、良性か悪性か(乳がんかどうか)を確定診断するための検査です。検査には、細胞診より太い針を使用する針生検が主に行われており、外科手術で、皮膚を切って組織を切り取って調べる「外科生検」は、ほとんど行われなくなりました。当院では特殊な吸引機能のあるVACORAという小型機械を用いて、1回の穿刺で大量の組織標本を採取します。局所麻酔して皮膚を2~3ミリ切開し、乳腺超音波でしこりの位置を確認しながら、針を正確に病変まで誘導して、組織をとります。組織採取直後は約10分間止血圧迫をします。皮膚の針穴は外科テープで固定します。検査時間は準備を含めて約30分、入院の必要はありません。検査後半日ぐらいは、患側の上肢を安静にして乳房内出血を予防しますが、歩いたり、食事をしたり、下半身の入浴など制限はありません。検査翌日からは、全て無制限で普通に入浴もできます。

組織診で何がわかるのですか?

組織診の最重要の目的は、良性か悪性か(乳がんかどうか)を確定診断することです。その他には、細胞診で乳がんと診断できなかったときや、画像診断と細胞診結果に不一致がみられた場合にも組織診が必要になります。さらに手術前や手術後の薬物療法を行うにあたり、ひとりひとり異なる乳がんの生物学的性質(女性ホルモン依存性、HER2遺伝子発現や細胞分裂能力など)を精密に調べることができて、最適な薬剤を選択することが可能になります。以上まとめると、組織診は乳がんかどうかを確定し、更に生物学的特性を把握して治療方針を決めることができる、最重要検査だといえます。

胸が大きいと乳がんになりやすいのでしょうか?

バストサイズが大きいことと、乳がんのリスクとは関係ありません。バストが大きいと乳がんになりやすいとか、小さいとなりにくいとかいうことはありません。ただし大きなバストの触診では、深いところにあるしこりを見落とさないために、十分慎重に検査します。

どんな人が乳がんになりやすいのですか?

「乳がんにかかる患者のピークは40代後半から50代にかけてですが、更年期以降の乳がんも、若年層にも増えています。喫煙は乳がんリスクを高めます。その他二親等以内の家族に乳がんがいる場合、初経が早い、閉経が遅い、妊娠・出産経験がない、母乳を与えていない、初産が30歳以上、長期間女性ホルモン治療を受けている場合、肥満(BMI26以上)、アルコール多飲、シフトワークによる不規則な生活などが乳がんの危険因子だと言われています。

男性も乳がんになることはありますか?

男性も乳がんになります。男子乳がんは全乳がんの約0.5~1.0%といわれます。つまり100~200人の全乳がん患者中、1名が男性の乳がんで、残り全ては女性乳がんだということです。治療法は、基本的には女性乳がんと同様です、まず乳房切除(胸筋温存乳房切除術)を行い、その後、エストロゲンレセプターの状況・リンパ節転移の状況・核異型度などを評価して、補助化学療法・内分泌療法を行います。

乳がんは遺伝するのですか?

遺伝する乳がんを家族性乳がんといい、乳がん全体の5%くらいだろうといわれています。BRCA1、BRCA2というふたつの原因遺伝子も見つかっています。しかし、この遺伝子を持っている人全員が発症するわけではなく、50~60歳くらいまでに約40%、75歳くらいまでに約80%の人が乳がんになるといわれています。

家族性乳がんの判断基準は次のようなものです。
①第1等近親者(親、子供、兄弟姉妹)に本人を含め3人以上の乳がん患者がいる。
②第1等近親者(親、子供、兄弟姉妹)に本人を含め2人以上の乳がん患者がいて、そのうち1人が以下のどれかに該当する。

「40歳未満の若年発症者」「両側乳がん患者」「他の臓器のがんを合併」「男性乳がん」家族性乳がんの原因遺伝子BRCA1、BRCA2の血液検査には保険がきかず、自費検査になります。

乳頭から分泌液がでるのですが乳がんでしょうか?

透明や白色の乳汁分泌は、生理的な物がほとんどで心配ありません。片側バストの、乳頭の一つの穴から色のついた乳汁(黒や褐色は血性)が出る場合には、90%以上は乳管内乳頭腫という良性腫瘍が原因です。しかし乳管内に発生した早期の乳がんの可能性も否定はできません。乳腺専門外来でご相談ください。

乳がんはどんなふうに自分で気がつくのですか?

乳腺の専門外来をしていて、最も多い訴えベストスリーは①「バストが痛む」、②「しこりを触れる」、③「乳がん健診で異常を指摘された」です。乳がんの90%以上は、痛みがなく、石のように堅いしこりで、表面がごつごつざらざらした感じに触れる物が多いです。腫瘤の縁ははっきりしている場合もあるし、不明瞭な場合もあります。乳頭や乳房皮膚が引き連れたり、皮膚がオレンジの皮のように硬く厚くなる場合は乳がんの可能性が高くなります。血性乳汁分泌を伴うこともあります。

乳腺症って何ですか?

30代後半から閉経期にかけて、月経前に増悪(ぞうあく)し、月経開始後に改善する乳房痛が特徴的ですが、生理周期に関係なく痛む場合もあります。触れると痛みがあり、境界がはっきりしないバストの張りというかしこりという感じに触れるます。乳房も女性臓器なので、女性ホルモンの影響を受けて、周期的変動をします。乳腺の一部分が過剰に反応して張ったり、痛んだりするこうした状態を乳腺症といい、「バストの生理痛」であり、病気ではありませんが、乳がんでないかどうか心配であれば、乳腺専門外来でご相談ください。

線維腺腫って何ですか?

10代後半~40歳前後の女性に最も多い乳腺腫瘤です。近年の研究で、腫瘍ではなく卵巣ホルモンの影響による「過形成(かけいせい)」という良性病変であることが証明されました。片側バストに多発することも両側に発症することもあります。痛みを伴わない表面がつるっとした平たい碁石のような弾力性のある軟らかい乳房腫瘤として触れます。線維腺腫は乳がんにはなりません。検査は、乳がんでないことを確認するためのもので、マンモグラフィ、超音波検査、細胞診、針生検検査を行います。小さな線維腺腫は経過観察のみで手術はしません。切除手術の対象になるのは、美容上問題になるほど大きいものや、発育が比較的早い巨大線維腺腫、葉状腫瘍と呼ばれるもの、乳がんが否定できない場合だけです。手術創(そう)が目立たないように乳輪切開、乳房下切開などの方法が用いられます。

乳がん健診はどのようなことをするのですか?

40歳以上の女性を対象に、2年に1回、市町村の事業として、問診、視触診、乳房X線検査(マンモグラフィ)等を行います。無料健診クーポンを発行して健診の受診増加を目指しています。

乳がんの治療はどのようなことをするのですか?

スイスにあるザンクトガレンという街で、行われる乳がん治療方法を検討する国際会議の統一治療方針に沿って治療法を決めています。2011年会議の結果を踏まえて、まず乳がんステージを確定し、組織を採取して(針生検や切除手術など)、ひとりひとり異なる乳がんの性質を精密に調べます。同じ部位にある同じステージの乳がんでも、AさんとBさんでは、ホルモン依存性、HER2遺伝子の発現、などの治性質が異なります。それらの因子の結果を踏まえ、乳房切除手術または乳房温存治療(放射線治療を含む)に続いて、効果が期待できる最適な術後治療(化学療法、内分泌療法、抗HER2治療)を組み合わせるのです。しかしながら乳房を失いたくない、化学療法(抗がん剤投与)を受けたくない、経済的理由で高額薬剤を避けたい、長期入院はできない、などなど様々な患者さんの思いや社会的背景もありますので、ベストの治療法が選択できるように、一緒に考えましょう。

これまで乳がん手術目的でどちらに紹介されましたか?

近隣の茅ヶ崎市立病院、湘南藤沢徳洲会病院、湘南東部総合病院3ヶ所をはじめとして、大船の湘南鎌倉総合病院、鎌倉市の湘南記念病院かまくら乳がんセンター、神奈川県立がんセンター、聖マリアンナ医科大学附属病院ブレストセンター、東海大学附属病院、北里大学附属病院などに紹介実績があります。ご希望に応じてどちらでもご紹介いたします。